Voice 片岡岳(2021年4月1日 の所属:キオクシア株式会社 四日市工場メモリテスト 技術部):研究で得られる様々な経験






情報工学科を選択した理由




 私は入学する前から、情報工学科を選択することを決めていました。元々、漠 然とです が半導体というものに興味を持っており、入学前にホームページでコ ンピュータの中身を 学べるという言葉を見かけたからです。




 コンピュータは0と1で動いている、という文言はよく聞くと思いますが、普段 私達が 使っているパソコンやスマホは画面があり、アプリが動き、ウェブサイ トを閲覧したり動 画を見たり、離れた人とメッセージのやり取りをしたりゲー ムが出来たり等々…まるで0と 1の羅列とは結びつかないようなことが出来ます (少なくとも私は最初全く結びつきませ んでした)。情報工学科でコンピュー タの中身やネットワークがどう動いているのかを学 んでいくうちに、結びつか なかった部分が段々と具体的にイメージできるようになり、こ の分野のおもし ろさが見えてきました。




研究について




 私の研究テーマは、「機械学習に基づくリソグラフィホットスポット検出の 高精度化に 関する研究」です。半導体チップの製造では、リソグラフィという 工程で回路の図面が印 刷されたフォトマスクというガラス板に光を照射・通過 させ、感光性物質を塗布したウェ ハ上に回路を焼き付けます。このとき、回路 パターンは非常に微細で、光がフォトマスク を通過する際に回折現象が発生し てしまうため、光の干渉や照射量が変化してウェハに焼 き付けた回路パターン が断線したり、ショートしてしまう、といった不良点(ホットス ポット)が存在 します。本研究では機械学習を利用した画像認識の技術を応用して、回路 パ ターン上からホットスポットを高精度で検出する手法の模索に取り組みました。




 研究室生活はゼミ、実験、論文執筆、学会発表と大変なこともたくさんあり ますが、専 門知識は勿論のこと、主体性・プレゼン能力・論理的思考力などの ような、単なる勉強だ けでは得られない能力も着実に自身の血肉になっている と実感することができます。ちな みに私は学部3年辺りまで平均以下の意識の低 い学生でしたが、研究室に配属されて能動 的に新しいことを知っていくことの 面白さに気が付き、研究活動に打ち込むことができま した。また、半導体製造 に関わる研究ということもあり、研究活動を通じた縁で現在の会 社への就職に 繋げることもできました。




 一方、普段から同じ学生同士で意見を交わし合ったり、息抜きをしたり、趣 味のコー ヒーを淹れたり、とかなり自由な部分もあり楽しく過ごせました。




 個人的な考えですが、せっかく研究するならやはり学部4年目の1年間だけで なく、修士 課程もぜひ検討してみてほしいなと思います。1年間だけよりも、 ずっと研究の面白さが 垣間見えると思います。




仕事とのつながり




 現在私は、研究開発段階の新規構造を採用したフラッシュメモリの不良解析を 行うシス テムの開発に従事しています。大学に入学した頃は、実際に自分がこ のような世界に身を 置くとは思いもしませんでした。半導体メモリの最先端に 関われることは、責任を感じつ つも刺激に溢れており、将来このメモリが世の 中のあらゆる電子機器に使われると思う と、非常にワクワクします。幸いにも 大学で学んだことがかなり直結しており、研究室生 活での経験も活きているこ とを日々実感しています。




最後に




 将来社会で活躍する上で、情報工学科で学ぶコンピュータの中身・ネットワー クという ICTの根幹とも言える知識は、とても応用の利く価値あるものだと思い ます。世の中で動 いている様々なモノやサービスの大元を知っていることは、 自分が生み出す側になった 時、きっと心強い武器になるはずです。近年は様々 な技術が目まぐるしく移り変わってい ますが、変化に負けない土台を作るため の足掛かりとして”情報工学科”を検討してみては いかがでしょうか。




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